ゲームチェンジャー

サウジアラビアが石油施設への攻撃によってその生産能力の半分に打撃を受けたというニュースは、大規模な資本の集積があっけなく黒煙を立ち昇らせる無情な光景とともに伝えられ、無人機の編隊によるこのような戦略的効果の実証があっては、以降、世界の枠組みさえ大きく変わってしまうのではないかと思わせる威力があった。

無論のこと市場は直ちに反応して、サウジ当局は代替も含めた対応で供給能力のリカバリーについては既に見通しが立っているという発表をしたようだけれど、だいたいドローン10機の無差別攻撃による損害が供給能力の半分にとどまるということ自体、ほとんど目分量だと思われるので、復旧したという発表を無邪気に信じる気にはもちろんのこと、ならない。

そして国家の信用とは、このような有事に際して発信したメッセージが効用を発揮するかによって計られるものに違いなく、かの王家の国が何を言っても言葉通りには受け取れないが、それはトランプのアメリカも本邦も同じことであり、考えてみればこの数年で世界の枠組みは既に大きく歪んでいるのである。