『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を観る。首の太い2014年版ゴジラの直接の続編で、例によって開巻、東宝のロゴがフィーチャーされるだけで滾るわけだけれど、東宝には到底、作ることのできない世界であるからには、かつてのクリエイターに対するリスペクト以上のものにはみえない。
ギャレス=エドワーズの作った物語世界に比べると、モナークの存在がかなり前景化しており、ほとんど特務機関NERVに匹敵する組織であって、タイタンズもどうかすると使徒のようである。
ストーリーは詰め込んであり、トレーラーであらかじめ見知ったシーンが現れた頃にはお腹もいっぱいになっている。今回は渡辺謙演じる芹沢博士にもかなり出番があって、チャン=ツィイーと並び一応、主役のはずのカイル=チャンドラーより存在感があるくらい。チャン=ツィイーは双子の博士という設定で、妹はモスラの孵化のシーンに一瞬、登場して観客を惑わせるのだけれど、もちろんインファント島の双子へのオマージュなので、その心意気やよしとしなければならない。肝心のモスラが、成虫になっても糸を吐くという設定は措くとして。
遠景の全身から怪獣にズームインして見得を切らせるシーンがいくつかあって、この歌舞伎的様式美と先行作品の痕跡だけで、とはいえ十分、お釣りがくると思ったことである。脚本はいろいろあるけれど”Long live the king.”というキーフレーズは効いているし、芸能山城組かとツッコミたくなる音楽もいい。