サバハ

『サバハ』を観る。猟奇事件に宗教的モチーフを重ねた構造で、言ってしまえば『コクソン』とよく似た物語だけれど、さらに言ってしまえば、ベツレヘムに新しい王が生まれたと聞いたヘロデ大王による幼児虐殺の主題を組み込んだ話は『コクソン』ほどには難解でなく、狂言回しとなるイ=ジョンジェはほどほどに胡散臭い二枚目の役回りでキャラが立っており、それなりに複雑なストーリーをクライマックスに向けてよく駆動している。なかなか面白い。

田中泯がチベットの高僧役で登場するという不思議なキャスティングがあって、日韓の映画界は地続きになるのなら、それはそれでいいことではないかと思うのである。