シンギュラリティ・ソヴィエト

伊藤計劃の正系でありつつ、SFのバックグランドについてはより広い印象を受ける伴名練だけれど、見知った概念にスチームパンクな名前を誂えて見せる手管が遺憾なく発揮されているのが『シンギュラリティ・ソヴィエト』で、「労働者現実」から「党員現実」にシフトする描写にはシビれる。電車のポイントがいきなり切り替わって違う世界に連れて行かれる感覚は一流のもので大変楽しい。