ハンターキラー 潜航せよ

『ハンターキラー 潜航せよ』を観る。トレイラーを観ると、ちょっと荒唐無稽な潜水艦ものかと疑うのだけれど、爆雷の雨をすり抜けるシーンは本編には使われておらず予告用の煽りとみえる。パブリシティの方針はちょっといかがなものかと思わざるを得ない。水中戦そのものは厳密な考証を感じさせるものではないにして、それなりに真面目な雰囲気もあるので悪くないのである。

ストーリーはトム=クランシーと『エネミーライン』その他を煮詰めて122分にしたというところで、大衆向けの軍事スリラーの王道にある感じ。登場する米国大統領がヒラリー=クリントンを模している通り、現実が映画の目論見を追い越してしまったのは製作サイドにとっても誤算だったに違いない。冷戦終結でスパイものは下火となったが、トランプの世界では繊細な軍事的緊張など茶番にしかみえないのである。

それはおくとして、よく考えると冒頭の事件の顛末が全然、説明されていないとか、「詳しくは原作小説で」というような荒っぽさはあるし、どこかで観たようなシーンも多いのだけれど、盛り沢山で勢いはあるので飽きることはない。