ボーダーライン ソルジャーズ・デイ

『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』を観る。エミリー=ブラントがFBIの捜査官を演じた一作目でも対麻薬戦争を推し進める役回りだったジョシュ=ブローリンとベニチオ=デル・トロによるスピンアウトともいえる続編で、監督もドゥニ=ヴィルヌーヴではなくなっているけれど、スケールダウンはあまり感じさせず、むしろこれから話を広げていこうという意欲が垣間見える展開で、何しろかなりオープンな結末なので「このルール無き戦いに、終わりはあるのか」という惹句にも煽られている印象が強い。さらなる続編に続く。

とはいえ、ストーリーは『今そこにある危機』の現代的翻案というべき内容で、車列襲撃シーンも充実しているので楽しめる。一方、カルテルとの戦争の契機になる事件が実は合衆国国民によるテロだったというあたりにバランスは感じるにして、メキシコ国境の緊張を描くということ自体の政治的な意味合いは1990年代とは大きく異なっている。そして、国境の警備が厳しくなれば禁制品の価値が上がってカルテルが喜ぶというセリフがあったけれど、してみるとトランプと麻薬組織の利害は一致しているのだとも思ったことである。