ユピテルとイオ

『ユピテルとイオ』を観る。地球が荒廃して、人類が木星の衛星イオに脱出し深宇宙の探査を画策している未来、地表にわずかに残った人々の滅びの日々を静かに描いたディストピア映画。天文台で暮らし生物の再生を研究する女性と、ある日、その岬に気球で降り立った男との交流が、木星への最後の脱出船の出発までのカウントダウンとともに描かれ、クライマックスにはコレッジョの絵画『イオ(ユピテルの愛の物語)』も思わせぶりに登場したりする。
滅びのイメージの断片をつなぎ合わせたような映像は美しいし、漂う詩情も悪くないのだけれど、そこまでという惜しさがあって内容的にはイマイチ。だいたい、『イオ』とはあんまり関係のない話ではないか。