以小事大

文化庁の外郭団体が『宮本から君へ』の助成を取り消したという話には、これまでと同様の不透明さを感じつつ、言いがかりをつける人間の見識の浅さを理由として勝手に納得していたようなところがあるけれど、この決定自体が『新聞記者』のプロデューサーでもある河村光庸氏への嫌がらせではないかという観測には、まずそれが事実に違いあるまいと感じて妙に腑に落ちる。この国の、ことに官僚機関の荒廃からすれば、政権の歓心をかおうと浅ましい番犬ぶりを発揮しようとする輩がいても驚かないし、そのような指示があったとしても不思議とは思えない。何しろ、わずか数年で美しいニッポンの品格と公正の基準は、堕ちるところまで堕ちているのである。