替り目

『いだてん』を観る。「勝つことなど考えんでいい」と、かつて四三に言った実次が急逝し、一方でオリンピックはいよいよ勝つことを追求するイベントになっていく。金栗四三が熊本に帰ることを決心し、田畑政治とのバトンの受け渡しが行われる場面を、未だ何者でもない孝蔵に志ん生の『替り目』のサゲと同じセリフを言わせた上で重ね、いくつもの交差を描いていくクドカンの脚本は相変わらず見事で、何なら神がかっている。この上、戦争を挟んでオリンピックがどのような変質を遂げていくのか目を離せない。