パブリックベータ

以前は不安定なベータ版に好んで手を出すアーリーアダプターの鑑であったけれど、変更点の多そうなiPadOSには恐れをなして遠巻きに眺めていたのである。今度のベータ5で律儀な案内をもらったので、ついに重い腰をあげたところ、それほど気になるところもなく完動していて、この調子なら順当に来月のリリースに到達するであろう。実を言って体験にも劇的な違いはないようだけれど、これこそ成熟というものであろう。

逃げるは恥だが役に立つ 第10巻

発売なった『逃げるは恥だが役に立つ』の10巻を早速、読む。2016年の完結から2年半、ほぼ実時間と同じ経過を踏まえての続編で、テレビドラマで構築された物語の厚みもフルに援用してその後が描かれる。社会の呪縛と生きにくさを正面から扱うスタイルは健在できっちり地続きの話になっているのがうれしくて、何もかもが懐かしい。

アべンジャーズ/エンドゲーム

『アベンジャーズ/エンドゲーム』を観る。『インフィニティー・ウォー』にようやく追いついたレベルのあまり熱心ではないマーベルファンだけれど、10年以上にわたり、時に迷走していたようにもみえるユニバースのクライマックスとあれば、居ずまいを正し万全の態勢で。これまでネタバレを慎重に回避してきたわけだが、脚本はともかくとして、映像的には凡庸なシーンの多かった『アベンジャーズ』のシリーズとしては前作に引き続き見どころが多く、満足感が大きい。

無論のこと、量子世界とタイムラインのコンセプトのことはあまり深く考えないようにしているのだけれど、それぞれのキャラクターの物語の閉じ方は納得のいくもので、ペッパー=ポッツが要所に登場する181分の長尺を堪能したわけである。

京都人の密かな愉しみ Blue 修行中

結婚と出産で女優としての活動を休止している相楽樹の不在によって、『京都人の密かな愉しみ Blue 修行中』のその後はどうなってしまうのだろうとかつて嘆じたものだが、続編となる『祇園さんの来はる夏』が8月17日にオンエアと知って小躍りしている。

群像劇とはいえ、事実上の主役ポジションであった釉子には新たに吉岡里帆がキャスティングされるようだけれど、京都という街自体が文脈を象る物語であればこそ、それが主人公交代という大事件であっても軽々と同定されて、違和感なく物語は進行すると思う。そして、今回は宵山、山鉾巡行のドキュメントと並走する趣向ということなので、まず楽しみというほかない。

風化

今や新聞をとっている家庭が少数派であっても驚かないけれど、この土地に住んでいるからにはという気分で信濃毎日新聞を購読している。1933年、「関東防空大演習を嗤ふ」を書いた桐生悠々を、結局は守ることができなかったこの新聞社は、つまり戦争へと傾斜していく世論のお先棒を担いだようなものだと思っているけれど、この8月6日、朝刊の一面に広島の文字がないとあっては、まったく反省が足りないというものではないか。第3社会面に、わずかに記事があるだけであることに静かに驚いている。

逃避

これまでのやらかしを踏まえれば、NY市場が大荒れというニュースには全く意外性がないどころか、物事の明るい面ばかりを強調してきたストーリーもようやく現実を直視せざるを得なくなったということで、質への逃避はついに金相場をさえ押し上げているみたい。経済と貿易の枠組みの強度を試すかのような所業を重ねるような政権は、市場がリスクを織り込む動きさえ相手のせいにするというのがこれまでの経験則で、貿易戦争と通貨安戦争の果てに実力行使がないのが当面の明るい面という状況なのではあるまいか。

ザ・プロフェッサー

ロバート=ベイリーの『ザ・プロフェッサー』を読んでいる。法廷ものであり、老境にあって復権をなそうという男の話であり、犬の物語でもあるというわけで、好きなことしか書かれていない。とはいえ、事件の経緯を語る第一部はちょっと陳腐な小説でどうかと思ったのだけれど、我慢しているうちぐいぐい面白くなってくる。