秘密 THE TOP SECRET

『秘密 THE TOP SECRET』を観る。原作漫画を料理する手腕には定評がある大友啓史監督による清水玲子の『秘密』の映像化。MRIと呼ばれる死後の脳スキャンによって刑事事件の真相を捜査する「法医第九研究室」、通称「第九」が遭遇する事件という設定からしてSFっぽいわけだが実写にも案外、違和感がないのはさすが。生田斗真や岡田将生に清水玲子のキャラクターを演じさせるという企画の真髄もよく機能している。一方、149分という尺でも短すぎという感じは拭えず、説明も端折られているし、話は詰め込まれているし、設定は回収されないしで、おそらく三部作くらいにした方がよかったのではないか。大友啓史監督作品というのは長ければ長いほど評価が高くなる傾向があるのも、理由のないことではないわけである。

残念ながら傑作というには程遠い内容ではあって、ことに冒頭近く、MRI捜査の利点を問われた薪が、数多くの捜査官が不要でローコストという説明をするのだけれど、装置を用いる資本集約的な捜査が労働集約よりもローコストとは、この責任者の理解レベルが心配になったものである。

短慮

右派ポピュリズム業界では韓国に対してどれだけ非礼を働けるか競うような状況になっていて、そもそも外交や国益のことなど考えていないだろうことが知れるわけだが、トランプの関税が現代のサプライチェーンの複雑さをまったく理解していないのと同様、輸出令を使ったこの度の嫌がらせは、サプライヤーからの日本企業の排除によって比較優位であるはずの自国産業の衰退をもたらすに違いない。輸出立国として自国通貨安をメリットと勘定する国の振る舞いとしては、自殺行為と断じても言い過ぎではない。もちろん、短期的にも相互的な報復措置があるに違いないのだが、この事態を招いた者どもは自国に生じるダメージを理解しているのか。

灼熱

いつの間にか8月になって、今年は冷夏という予想もあったはずだけれど北海道でさえ35度を超える気温になっている。7月には雨が多かったのでこの時期に東京でオリンピックをやろうという無謀について批判する声は後退している気がするけれど、無策なまま、予想通りの惨劇に向かって事態はすすんでいるのではないか。