世の中は秋分の日の三連休、季節性の繁忙で出社してあれこれ。松本盆地は台風の影響で強風が吹き、通常はあまりないことだけれど、松本空港の発着便が轟音とともに頭上を飛ぶ。横風でランディングがやり直しになったということなのだろうが、ちょっとした異常事態である。
Month: September 2019
いだてん
『いだてん』は前畑秀子が金メダルをとったベルリンオリンピックでの顚末を経て、第三帝国型の国威掲揚大会へ舵を切る東京オリンピック準備の迷走と支那事変の勃発まで。例によって脚本と演出は冴えており、ナチス式敬礼を擬するかたちで立ちすくむ田畑政治のシーンには唸る。韋駄天の言葉が出てこない嘉納治五郎とか、細かいシーンにも多重の文脈が走っているのが凄いのだけれど、2020を前にして、戦前の軍靴の響きと現在をシンクロさせている全体の構造とそれを実現する構想力には感服する他ない。
ファースト・マン
『ファースト・マン』を観る。『ラ・ラ・ランド』のデイミアン=チャゼル監督が再びライアン=ゴズリングを主役に据えた映画で、アポロ11号で月面に立ったニール=アームストロング船長の半生を、ミッションそのものをクライマックスとして描いている。緩急自在の画面の果て、静かの海の精密な描写に至る演出は徹底的に企まれたもので、これはすごい。
冒頭、X-15のテストフライトからして軋む機体が喚起するリアリティが只ごとではないのだけれど、再現されているテクノロジーが月面ミッションの本来の困難を想像させてドラマとしての質も驚くほど高い。サターンVロケットの打ち上げシーンは見どころのひとつだけれど、これほどのスケールを感じさせる例はなかったのではなかろうか。ライアン=ゴズリングと妻のジャネットを演じたクレア=フォイも熱演によって奥行きを生み出しているけれど、技術の描き方にも半端なところがないと思ったことである。
iOS 13
出されたものは残さず食べるという方針に従って、提供の始まったiOS 13への更新は即座に済ませ、しかしハードウェアを新しくしたわけでもないので出来ることは大きく変わっていないみたい。なるほど、Appleの強みはハードとソフトの融合にあって、同じ端末を使う限りは基本的に同じ体験が維持されるというのは重要な意味を持つのではあるまいか。
ブロック
かつて山本太郎と相並び「脱原発」を訴えた写真をツイートすると、その河野太郎のアカウントからブロックされるという話を聞いて早速、リツイートしてみたのだが一向にブロックされる気配がないので、定見のない此奴の、扇動政治家なりの根気のなさもあわせて蔑もうという気分になっている。
連戦
季節性の繁忙で相変わらず作業に集中しているのだけれど、半期チャネルのOfficeが最近アップデートされてインターフェースデザインが少し変わったので目先、気分転換になっている。黙々。
ゲームチェンジャー
サウジアラビアが石油施設への攻撃によってその生産能力の半分に打撃を受けたというニュースは、大規模な資本の集積があっけなく黒煙を立ち昇らせる無情な光景とともに伝えられ、無人機の編隊によるこのような戦略的効果の実証があっては、以降、世界の枠組みさえ大きく変わってしまうのではないかと思わせる威力があった。
無論のこと市場は直ちに反応して、サウジ当局は代替も含めた対応で供給能力のリカバリーについては既に見通しが立っているという発表をしたようだけれど、だいたいドローン10機の無差別攻撃による損害が供給能力の半分にとどまるということ自体、ほとんど目分量だと思われるので、復旧したという発表を無邪気に信じる気にはもちろんのこと、ならない。
そして国家の信用とは、このような有事に際して発信したメッセージが効用を発揮するかによって計られるものに違いなく、かの王家の国が何を言っても言葉通りには受け取れないが、それはトランプのアメリカも本邦も同じことであり、考えてみればこの数年で世界の枠組みは既に大きく歪んでいるのである。