いくら何でも対立を煽りすぎだろうという嫌韓メディアが批判の対象になるや、誤解を拡めかねないと言って謝る事案が起きた訳だが、積極的に悪感情を拡散するのが編集の意図だとばかり思っていたので、むしろその尊大な謝り方に驚く。こういう世界にあっては、言説が軽んじられるのも無理はないと思うし、小学館は緩やかな自死に向かおうとしていることに気づいてさえいないようなのである。
Month: September 2019
シンギュラリティ・ソヴィエト
伊藤計劃の正系でありつつ、SFのバックグランドについてはより広い印象を受ける伴名練だけれど、見知った概念にスチームパンクな名前を誂えて見せる手管が遺憾なく発揮されているのが『シンギュラリティ・ソヴィエト』で、「労働者現実」から「党員現実」にシフトする描写にはシビれる。電車のポイントがいきなり切り替わって違う世界に連れて行かれる感覚は一流のもので大変楽しい。