『G線上のあなたと私』をリアタイで観る。何なら最終回といっても違和感のない展開ながら、クライマックスに向けてCMの入り方も頻繁なのでTVerの方が良かったかもしれないと思いつつ。シリーズ構成上はロマンスのターンということになるのだけれど、このあたりの語り口はいくえみ綾の原作とまるで違って、このドラマの構造はどちらかというと中川大志を愛でるために設計されているのではないかという仮説を補強する流れ。波瑠のモノローグが控え目でもあったのである。
Month: December 2019
氷菓
『氷菓』を観る。2017年の実写映画で、高校生というにはいささか無理があるのではないかと思われる山崎賢人が折木奉太郎、広瀬アリスが千反田える。いやはや。
一方、114分の尺に原作のエッセンスはほぼそのまま盛り込まれていて、その律儀な作り込みには感心したものである。米澤穂信っぽいテンポはあって、そのあたりは悪くないのだけど何故、映画にしようと思ったのかという気がしなくもない。
火の鳥
『いだてん』を観る。確証バイアスというのは恐ろしいもので、五輪出場国への「招待状」のくだりでは現下、世間を騒がせている桜疑惑を想起せざるを得なかったのである。とにかく、クドカンのこの引きの強さは毎度、空恐ろしいほどである。
オリンピックを通じてつながれてきた人々の営みの連鎖が、いよいよ東京でひとつのピークを迎えるという物語構造が、事務総長を退いた田畑から岩田や大松への負託を通じて明らかになろうという最終回二歩手前、シマから人見絹枝、前畑秀子、河西昌枝という女性アスリートの境遇を通じてオリンピックにまつわる「たすき」の存在が浮き上がる流れはまさに劇的というものではないか。沖縄で四つに分かれた聖火が国立競技場に集う最終局面を目にしているいうことだと思うのである。