ブレードランナー 2049

『ブレードランナー 2049』を観る。ドゥニ=ヴィルヌーヴの監督作品であるからには、それなりの映画になっていることはわかっていたのだけれど、今まで観ていなかったのは全く不徳の致すところという他ない。タルコフスキー風の画面が唐突に現れたりするわり、晦渋さよりは分かりやすさが勝って163分もある尺が長いという感じでもないのである。前作へのリスペクトはもちろん、エントロピー増大の果て現出した黙示録世界は悪くないし、長雨続きという雰囲気だったオリジナルに比べると、水は死と再生の場面に使われていて、全体に象徴が機能しているあたりが好み。脇腹から流れる血というのは、もちろんキリスト的な世界観を感じさせて、そう考えるといろいろ面白い。