NHKのニュースでやおらModern Monetary Theoryの説明がされていて、いまや政府広報というべきテレビ局であるからには、何の観測気球かと疑う。人相の悪い財務大臣が「日本経済を実験場にするつもりはない」などと、威勢のいい答弁をしているところ切り取ってみせる幇間芸もあったりしたのだが、フリードマン流の新自由主義が幅をきかせた時代を経て、ふたたびケインズかと見紛うMMTが台頭しているのも、日本の無節操な金融実験を踏まえてのことなのだから、こいつはやっぱりアホウなのである。
それはともかく、財政赤字にあっても物価の高進がない状況で政府は財政拡大を行うことができるという命題をこれまでの放漫財政で証明したのに続き、10月からの消費増税によっては、課税による需要の抑制により物価は調整されるというケインズの総需要管理政策についても論証されるであろう。もちろん、日銀の政策目標に反して物価の水準はさらに切り下がっていくに違いない。