いまだったら言える気がする

YouTubeで『いまだったら言える気がする』を観る。これも完全リモートによる制作ということなのだけれど、行定勲の監督・脚本、中井貴一と二階堂ふみが年の離れた恋人という豪華なキャストで、それだけでも木戸賃を払いたい。リモートの画面を通じた会話のみの30分をノーカットで演じる仕事が間違いなくプロのものである以上はなおさらである。そして中井貴一の娘として登場するのがBiSHのアイナ・ジ・エンドで、その個性と才能を演技でも確認してうれしくなる。このキャスティングを支持する。

小説と演劇のセリフを重ねたダイアログが見事な脚本で、織り込まれたシアター支援の文脈には、いまここにあるべき作品としての意義が強く立ち上がって見応えがある。コロナ状況下であれ、こうした創作が行われることこそ芸術の強さであろう。そしてそれを支えるシステムが必要だということもまた確かなのである。