『あの頃、君を追いかけた』を観る。オリジナルの台湾映画は未見。山田裕貴が高校生という設定には多少の無理があるけれど、まっすぐに育った青年期の男を演じ、少しだけ世界を変えたいという大望を述べて嫌味がない。やがて、この直情が漠然とした不安の裏返しであることも明かされ、恋愛感情の行き違いが紡がれていく後半もいい。齋藤飛鳥のヒロインは、この一瞬のタイミングが撮られるべきだという説得力をもっていて、青春期を扱ったロマンスの王道というべき作品で好感がもてる。
物語のロケは諏訪圏から松本にかけて行われており、当方にとっては地元エリアなのだけれど、セットも使いながらどこか懐かしい地方都市の感じがうまく演出されており悪くない。さすがにランタンを飛ばすという風俗はこの地にはないのだが、それほど違和感なく挿入されたシーンは台湾版の再現とみえ、これはリスペクトでもあるだろう。よろしいのではないだろうか。