エノーラ・ホームズの事件簿

『エノーラ・ホームズの事件簿』を観る。マイクロフト=ホームズとシャーロック=ホームズの年の離れた妹エノーラ=ホームズは16歳となった朝、目覚めて母親の失踪を知る。状況を確認に訪れた兄たちは母親が戻らないつもりだと考え、マイクロフトはエノーラを寄宿学校に入れる算段をする。

Netflixオリジナル映画で『ストレンジャー・シングス』のミリー=ボビー・ブラウンが高名な兄弟の妹という役回り。ヘンリー=カヴィルがシャーロック=ホームズその人を演じていて、なかなか雰囲気がある。

語られることのなかったホームズ家の母親と娘の物語というアイディアに、父権的な帝国の没落と、しかし戦うことなしに手に入れることができなかった参政権をめぐる陰謀という横串を通して、全体としてよくできた冒険譚となっており、主人公を駆動する動機の変遷や伏線の回収がきちんと設計された脚本の出来にも感心する。少年期に観るべきウェルメイドなジュブナイルといえ、なかなかよろしいのではないだろうか。