キングダム

歴史上の中国を舞台に日本語劇を作ろうという話だから、一歩間違えば大惨劇となるところが、世界水準と言っても過言ではないエンターテイメントとして成立していることを称えてもいいのではなかろうか。

王道というべき貴種漂流の物語をきちんとした画面とアクションで作るというのは、どこか変化球に頼るクセのある邦画にとって高いハードルであったに違いないのだが、まずシンプルなストーリーラインに教科書通りの起伏が作られていることに感心する。主人公が壮大な夢を語るのと同様、制作サイドが世界市場を意識した仕事をしていることにまず感動するのである。

そして巷間に言われるように、長澤まさみの楊端和は尊い。それ以上に大沢たかおのキャラクター造形には毒気を抜かれ、総じてキャラが立っているのも楽しんだのである。続編の劇場映画が作られることになったといいうことだが、その価値はある仕事ぶりであろう。