Netflixで『ミッドナイト・スカイ』を観る。リリー=ブルックス・ダルトンの『世界の終わりの天文台』が原作で、ジョージ=クルーニーが監督して主演も務めている。原作の原題が『Good Morning, Midnight』だからか、ちょっとジョージ=クルーニー的にかっこいいタイトルだけれど、イメージとしては邦題の方が合っているし、主人公は人生の黄昏にあるのでアクションの要素はほぼ存在せず、どちらかといえば来し方の回想が結末につながっていく種類の物語なので、少しは前提知識がないとギャップを感じるかもしれない。
『ゼロ・グラビティ』と『レヴェナント』を足し合わせた映画として構想され、脚本も『レヴェナント』のマーク=L・スミスであると聞いただけでは訳がわからないが、そう思ってみるとたしかに両者の雰囲気はあって、何故そんな映画が作られねばならないのかという疑問だけが残る。作品の評価自体は今のところパッとしないようだけれど、大方に残るのはそのあたりの不思議であろう。
監督としてのジョージ=クルーニーは過去の回想シーンに別の役者を起用したり、難しめの語りをそれなりにうまくこなしているけれど、アイリスという少女の不思議は、子役のケイスリン=スプリンゴールの存在感への驚きはあっても、もともと映像での表現に向いていない気がする。