『ワンダーウォール 劇場版』を観る。NHKの京都発地域ドラマに未公開カットを加えて構成したディレクターズカット版。68分の印象はテレビで観たものとほぼ変わらない一方、巻末に2018年以降の経緯がテロップされ、改めてエールが送られる。吉田寮については京都大学が強硬な姿勢を崩さず、2019年5月に開学以来、初めて大学当局が学生に対して訴訟を起こしたのは伝えられている通り。
改めて観てもドラマとしてよく出来ている。語るべきことは狂言回しとしての成海璃子にまかせることで、食べ物を分けあい、無秩序になかに秩序と気遣いがある寮生の動物的生態が際立った群像劇となっており、渡辺あやによる脚本は見事。「和敬清寂」の掛け軸が発見され、図らずも暁の茶事に至ってエンディングという流れが大変好きである。