初恋

『初恋』を観る。久しぶりに三池崇史監督の映画を観た気がする。三谷監督のヤクザ映画でもあるからには、PG12の基準がわからないくらいのドギツさもあるのだけれど、その泥沼と対比させながら、ボクサーと不遇な少女の一夜の物語を『初恋』というタイトルで編もうという狙いはよく成就していて、絶妙なバランスが成り立っている。

死を宣告されたボクサーの窪田正孝、薬物中毒で最低の境遇にある少女の小西桜子、トリックスターの役回りの染谷将太、悪徳刑事の大森南朋、復讐に燃える女のベッキー、刑務所帰りの武闘派の内野聖陽。脇役ですら哲学を語るキャラクターの立て方もいいけれど、各勢力入り乱れての乱闘にもきっちり尺がとられていて、それぞれに見せ場があるのだから満足度も高い。面白いのである。