そもそも感染拡大の程度はいまや観測不能の事象であるから、そのこと自体を論じるのはあまり建設的ではないとして、非常事態宣言と外出によって食い止めようとしているのはいわゆる医療崩壊であるのに、訳のわからないアベノマスクや雨ガッパ騒動に耳目が集まる一方、医療現場の窮状に焦点が合わず、特段の支援が進んでいないように見えるのはどうしたことか。
クオモが死者の数にもかかわらず称賛されるのは、攻勢を受けている医療のシステムを維持するという戦略目標を達成しつつあるからだし、毀誉褒貶のあるボリス=ジョンソンは”Protect NHS”という二語によって覚醒したとみえるのである。しかるに本邦の迷走ぶりは、手段を目的と取り違えるいつもの癖が出ていると謗られても仕方ないのではないか。