防疫において疑わしい患者や死亡者の全てを追跡して疫病の広がりを確認するのは「後ろ向き」の調査と言われているそうだけれど、いわゆるクラスターの追跡調査はこの系統の防疫活動であって、しかし最近の状況はこれを完遂することを許さないほどリソースが逼迫しているそうである。無理もない。
東京都では過去最高の888人の陽性確認がされた翌日、引き続いて884人を確認という状況でそれが可能であればむしろ驚く。結局のところクラスター調査が物量攻撃の前に無力だというのは夏前には分かっていたことなのだ。
現在の急激な感染の広がりが、単に指数関数的な増加なのか、いわゆる変異株の働きによるものなのか、いずれ遺伝子的な調査を踏まえないとわかるはずもないのだが、感染が速やかであればあるほど、感染力は高くなるように淘汰圧がかかるというのがものの道理で、人間の行動は1年にわたってこれをサポートしてきたのである。