前日の岩田医師の報告への戦慄の記憶も真新しいうち、家に帰って夜のニュースを見ていると、シエラレオネを越える公衆衛生上の悪夢とまで評されたクルーズ船からウィルス検査で陰性となった乗客が下船し、あろうことか公的交通機関を乗り継いで自宅に帰り着くまでが報じられている。
しかし、船内の防疫体制の不備と検査精度、何より乗客の数を考えれば、偽陰性の感染者が相当数、含まれているはずである。封じ込めの事実上の崩壊、むしろ意思決定の失敗による放棄が可視化されたプロセスとして、これらの映像は語り継がれるだろう。
時を経ずして、帰宅者からの発病が始まるのは自明であり、それが報じられないとすれば隠蔽の結果なのである。