望郷太郎

必ず読むマンガは『3月のライオン』だけという現状ではあるものの、ポストアポカリプスもので『望郷太郎』というモーニングの連載が面白いという話を小耳に挟んだので、この第1巻を読む。

大寒波の襲来で文明が滅びた未来、500年後に冷凍睡眠から蘇生した男が中東から日本を目指すという設定で、まず、大寒波が来ているのに数ヶ月を冷凍睡眠でやり過ごそうとする動機の不可解さに若干の違和感はあるのだけれど、眼目は文明崩壊ののちに生き延びるところにあるので細かいことは言いっこなし。文明初期化という惹句には、なかなか気の利いたところがあると思うのである。端的には狩猟採集のレベルに適応してどのように生き延びるかという話なのだけれど、ハラリの文明史に通じる文脈も窺えて、絵に癖はあるものの導入は悪くない。続刊も読んでみるつもり。