逃げるは恥だが役に立つ

英国ではボリス=ジョンソンが退院後のメッセージを出してNHSに最大限の感謝を述べている。この災禍の中で評価を変えた指導者をひとり挙げるとすればこの首相で、死の淵を覗いたことで当人の世界観も少し変わったのではないかという印象を受けなくもない。彼の経験がこの後の政治姿勢にどのような影響を与えるか、非常に興味があるのだが、悪いことにはならないのではないかと思うのである。医療現場を知るということにかけてこれ以上の経験はないだろうし、結局のところ個人の教養の厚みがそれを活かすに違いない。

『逃げるは恥だが役に立つ』の第11巻を読む。平匡とみくりの結婚の物語も第一子の出産にて完結。真っ当という他ない理路を辿る会話劇は、しかし独特のリズムを内蔵して読み応えがある。あのドラマのヒットを受けた第二部がどうなるのかとも思ったけれど、結局のところ原作は原作独自の世界観を貫いて完結した感じ。いうまでもなく、これはドラマにするような続編ではないのである。