イコライザー2

『イコライザー2』を観る。前作も結構、好きだったのだけれど、今回もオーソドックスな元CIAもののジャンル映画としてのコードを踏んで、意外なところは全くないけれどお約束が楽しめる。デンゼル=ワシントンは体型的に鋭利という訳ではないのだけれど、演技の力によって無敵のオーラを醸すという、役者本来の仕事をしていると思うのである。実のところ、ちょっとお腹が出ているのを衣装でごまかしている印象が。

ヨーロッパの事件を地元で解決するローカル感がちょっといいし、敵役の墜落というお約束展開にしても、ちゃんとトドメを刺す点で他のジャンル映画と一線を画しているあたりを評価したい。そもそも陰謀の真相は全く明らかになっていないのに、対決の構図をつくり、込み入った話をしないで物語を消化した手腕は優秀ではないか。普通は「名前をポケットに入れた」人間を倒すのがジャンル映画というものなのである。

ドラマ24

『映像研』に並ぶ今クールの楽しみは野木亜紀子のオリジナル脚本による『コタキ兄弟と四苦八苦』で、こちらも録画をセットして週末の開始を待ち構えている状態。深夜帯のこの充実ぶりは何なのか。テレビ東京でいうと、『面白南極料理人』の真夜中ドラマ枠か、今回のドラマ24枠にしか接点がないのである。

時勢

自身の中東歴訪は見合わせとしながら自衛隊の派遣は予定通りという卑劣には旧軍の伝統を感じざるを得ない本邦での茶番をよそに、防空警戒態勢にあるテヘランで旅客機が墜落し、報復のための弾道ミサイルが発射されて緊張はさらに高まっている。一方、外交ではエスカレーションを回避するためのメッセージが双方から表明され、全面衝突というシナリオはなさそうというのが直近の雰囲気だけれど、どちらかといえばイランのシナリオに米国がのっているとしか思えない展開で、何がしたいのかわからないアメリカとそれに追従する日本の漂流は2020年も続く。

映像研には手を出すな!

NHKで始まった『映像研には手を出すな!』の第1話を観る。さすがに深夜はキツいけれど、録画して必ず観ようと思っていた本作は、湯浅政明作品であればのびのびと世界が広がっていくだろうという期待はもとからあったけれど、浅草みどりの声をあてるのが伊藤沙莉だとオンエアで気づいて感動している。まさに適役というものではないか。

一方、実写版では齋藤飛鳥が演じるらしいのだけれど一体、どうするんだ、それ。

『未来少年コナン』ならぬ『残され島のコナソ』のアニメ講釈を踏まえたコインランドリー2階の場面も感涙ものの構成で、これからの展開に期待しかない。初回はまず、絶品というべきであろう。

ハッピー・デス・デイ 2U

『ハッピー・デス・デイ 2U』を観る。前作でも監督を務めたクリストファー=ランドンが脚本まで書いた2作目。直後の時間帯から設定をそのまま引き継ぎ、しかしループ設定どころかパラレルワールドものに転調し、それなり以上に面白い展開になっているのだから感心する。時計塔のシーンがある通り、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を意識したつくりになっているのだけれど、確かにこのテイストは似ていると思うのである。ライアンのドッペルゲンガーはどこから来たんだよとか、そんなMRIがあるかいとか、荒いところずいぶん見えるとして。

監督は3作目の製作に意欲を見せているらしいけれど、もちろん、とりあえず三部作というのが定石というものである。

ハッピー・デス・デイ

『ハッピー・デス・デイ』を観る。かつて一ジャンルを形成した『スクリーム』を想起させる殺人鬼ものに、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』みたいなループ設定を加えロマンスもあって、まず材料が盛り沢山なのだけれど、主人公が単に嫌な女というところから始まって、内面が明かされていく手際がいいので、ホラーとかサスペンスというより実は成長譚として楽しめる。この味付けの妙が本作の面白味であって、殺伐とした印象がないので、同じように大学生を主人公にして隆盛を極めたかつてのシリアルキラーものとはだいぶ違う話になっている。面白い。

ゴジラ

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を観た流れで『シン・ゴジラ』を久しぶりに観始めて結局、最後まで。

政策を機能させるためにあったはずの文書主義を実態として放棄した現実の日本を踏まえて、政治パートがこの映画の最も独創的で空想的な部分にみえてしまうのを、もう何と言ったらいいいか。