自由落下

瀬戸際からぎりぎりに引き伸ばされた日常が続いている。布マスク2枚というネタも今さらエイプリルフールでしたとは言えなくなり、ウヨ論客はそれを擁護しなければならないのだから、そもそも負け戦というわけだ。どうでもいい。

専門家会議の言いようを聞けば、既に堰を越えた濁流が黒々と渦を巻いている状況だと理解すべきではないのか。この日の東京の感染者は97名という報道だが、首都圏では100名を超え、そもそも本邦の検査基準を考えれば、ほぼ症状があって患者と分類される人数がそうなのだ。その状況で、ぎりぎり持ちこたえていると言ったその後のことを考えておらず、各国の苦闘から学ぶ気もなさそうというのがここまでの観測事実であれば、動揺が広がるのも無理はない。

布マスク2枚

もちろん今年のエイプリルフールはキャンセルだとNew York Timesも言っていたので、これはネタではなく、当人の答弁を見たからには虚構新聞でもないのだが、マスクの品不足に対する本邦政府の対応は全世帯に布マスク2枚の配布だと内閣総理大臣が言う。この何十年かで日本は貧しくなり続け、貧すれば鈍するという言葉通りの体たらくではあったけれど、その掉尾に登場したのがこの道化だ。

「布マスク2枚」のインパクトはあまりにも大きく、この事態がやがて歴史の枠組みで語られるその時には、愚かさの証として引用される言葉であるには違いない。目前に迫っているであろう激流を乗り切れる気が全くしないのだが、あらかじめ敗戦が決まっているとすれば、2度目の喜劇として繰り返されることになるわけだ。期待はしていないのだが、そろそろ自浄作用が働くのが政権党の見識というものではないか。