Falcon 9

午前3時半に目が覚めたので、そのまま起きて4時半前、クルードラゴン打ち上げのライブ中継を見る。宇宙開発の民間委託については是非もあろうが、ロケットはただ天を裂いて飛ぶ。宇宙ステーションへの到着自体は歴史に残る偉業とうわけでもないだろうけれど、切り離されたFalcon 9のブースターが予定通り、事もなげに回収船に着陸する動作には何度見ても驚きがある。これが商業化された宇宙開発の達成だとすれば、その経済的合理主義は間違いなくイノベーションを実現しているのである。同じような金の使い方は本邦では全く期待できず、マスク2枚の配布と同様、不透明な不落随意契約の果てに何事も為されず終わることだろう。

天気の子

『天気の子』を観る。『君の名は。』は311を振り返ってモチーフの一部に組み込んだことにインパクトがあったけれど、本作ではパンデミック後を先取りしたような世界が描かれていて「おぅ」となっている。特別警報をともなう大雨の頻発は温暖化した世界の必然だとして、暗転を繰り返しながら展開するストーリーには同時代の社会とひとびとの暮らしの問題もさまざまに書き込まれていて、多重の読み方を要請する構造を備え、全体としてよく練られていると思うのである。

いつもの色相の精緻な美術を特徴とし、近年のコンピュータグラフィクスの進歩を感じる技術の投入もあって大画面で観るべき水準にある映像もいいけれど、世界はもともと狂っていると言われれば、なるほど人類の歴史は疫病の歴史だったと思って深く頷いたものである。優れた物語はときに現実を予言する。

May 2020 Update

このとろこWindowsを真面目に使おうと研究していることもあって、メジャーアップデートをまっさらの環境にインストールしてみたのだけれど、具眼の士にのみ違いの明らかな変更と見えて、しばらく使ってもどこが変わったのかよくわからない。バージョン情報を確認したほどなのだが、目に見える変化を追わない確実なアップデートというのは好ましいものである。

とはいえ、何だか微妙なドライバー周辺の不具合が起きている様子で、気がつくとクラッシュが起きていたりする。いつも思うことで、是正できた試しもないのだけれど、OSのアップデートなど慌ててするようなものではない。

2/100000

北九州で感染確認が21人というニュースに、もちろん北九州市の人口を調べてしまったのだけれど全体でほぼ100万人と見れば、10万人あたりの感染者は本日時点で2人というイメージ。無論のこと非常事態宣言の解除目安を大きく上回っているのだけれど、放射能と同じく、定量基準そのものが都合よく、ずり上がっていく雰囲気がある。だいたい、東京にしたところが既にアウトなのだ。とはいえ、ウイルスは人界の事情などに構うことなく指数関数的に伝染していくであろう。

いまだったら言える気がする

YouTubeで『いまだったら言える気がする』を観る。これも完全リモートによる制作ということなのだけれど、行定勲の監督・脚本、中井貴一と二階堂ふみが年の離れた恋人という豪華なキャストで、それだけでも木戸賃を払いたい。リモートの画面を通じた会話のみの30分をノーカットで演じる仕事が間違いなくプロのものである以上はなおさらである。そして中井貴一の娘として登場するのがBiSHのアイナ・ジ・エンドで、その個性と才能を演技でも確認してうれしくなる。このキャスティングを支持する。

小説と演劇のセリフを重ねたダイアログが見事な脚本で、織り込まれたシアター支援の文脈には、いまここにあるべき作品としての意義が強く立ち上がって見応えがある。コロナ状況下であれ、こうした創作が行われることこそ芸術の強さであろう。そしてそれを支えるシステムが必要だということもまた確かなのである。

第2波

そもそもCOVID-19のPCR検査を依頼しても6割が断られるという開業医回答のアンケート結果が発表される一方での自粛緩和であれば、当たり前といえば当たり前のことだが足下から感染確認が増えても不思議はなく、それどころか活動の活発化にともなって感染爆発はほとんど必然的に発生するだろう。北九州では連日の感染確認増加を踏まえて公共施設が再休館となったそうだが、東京もこのまま終息という雰囲気では全くなくて半分は感染経路も不明というのだから、認めたくないとしても、元の木阿弥という状況なのではないか。問題は今後の対応だが、目分量の意思決定の裏返しとして、再度の非常事態宣言はあらゆる屁理屈を動員して回避されることだろう。これこそ国難というべきである。

緩和

Go to hellとかいう、主に観光振興を狙ったキャンペーンをそもそも予算に組み込んだのも与党に観光ホテル業が取り入っている証左であり、いわゆるズブズブの関係はもう長いこと続いているのだろうが、緊急事態宣言の解除と言っても、まだ不安を抱えているこのタイミングに7月から旅行の半額補助などと既定路線が語られるのは、ほとんど狂気の沙汰に見えるが正気か。多様性というよりは支離滅裂というものではないか。