ノーミーツ

ちょっと前に『12人の優しい日本人』を観てZOOMを使ったリモート演劇は商業ベースに乗りそうだと思ったけれど、4月9日に旗揚げしたという劇団ノーミーツのパフォーマンスはフルリモートで打ち合わせから収録まで行われているという話で、この状況に特化した集団が活動しているということにまず感心する。環境に適応したもののみが生き残る世界であれば、これは一つの可能性であろう。YouTubeにチャンネルがあるのだけれど、登録者数はまだ5,000人に満たないようなので、名を売るというのはなかなか難しいにして。

非常事態宣言は結局なし崩し的に全面解除との観測が報道されている日曜、都内の感染確認者は14人で、休日にしては多いといえる水準ではないかと思うのだけれどどうなのか。この地でも近くのコンビニに立ち寄ったら、マスクをつけている客の方が少なかったことに衝撃を受けている。この実体のない開放感は、指数関数的に増加する第2波をたちまち呼び寄せることになるだろう。

血を吸う薔薇

『血を吸う薔薇』を観る。1974年の東宝映画。和製ハマー・フィルムといわれる山本迪夫の演出は日本の土俗を絡めつつゴシック怪奇映画の記号を拾っていて、もちろん古臭くはあるしチープなのだけれど、なかなか面白い。岸田森が冒頭から怪しい謎の学長を演じ、黒沢年男と田中邦衛が女子学生失踪の謎を追う役回り。タイトルからしてネタを割ってるし、吸血鬼ものと紹介される以上はそういう話なのだが、未消化の舶来趣味と骨絡みのセクシズムが窺われて独特の雰囲気を醸している。ここから半世紀は経っていないのだから、随分と変わった景色もあるのだ。

MX Keys

旧正月以降の中国の都市封鎖によるサプライチェーンの途絶に加え、在宅勤務の大きな波の煽りを受けて、PCと周辺機器の市場在庫が払底するという現象が続いており、Logiのオンライン会議用機材だけではなく、評判のいいMX Keysの入荷も連休前に一回あったきり在庫切れとなっていたのだけれど、Amazonで販売が再開していたので反射的に注文してしまう。まず、予想通りの行動をする人間なのである。

そのMX KeysはPCとMacを切り替えて使うのに好適なので、なるほど在宅勤務用に買い揃えたくなる気持ちはわかる。キーストロークも適当でつくりもしっかりしているので今のところ特に気になるところもないみたい。

三割

困窮する学生のための給付金について、留学生には上位30%の優秀な層にしか給付を行わないとかいう方針が伝えられ、もう何度目かわからないこととはいえ、この国の為政者が心底、嫌になる。一体、どういう人間が、ここまで低劣な発想をできるものなのだろうか。美しい国ニッポンの実相を端的に示す話でもあって、この国は確実に衰退の途を辿ると確信したものだし、そもそも恥ずかしさのあまり崩れ落ちることだろう。

八百長

事態は思わぬ方向からの打撃によって急展開することがある。非常事態宣言下、疑惑の検事長が新聞記者と不法な賭け麻雀に興じていたことが報じられ、無論のこと責任が取り沙汰されている事案については世間を舐めるのも大概にせよという気分だけれど、これに加わっていたのが産経新聞と朝日新聞の社員だという話で、なんで産経と朝日が仲良く接待しているのかと思ったわけである。いや、悪いけど。

今さら件の検事長に倫理を求めるつもりも毛頭ないにして、右と左の論調も、プロレスと同じく単なる職業的ロールプレイだというのであれば、社会正義の追求に力が入らないのも無理はない。朝日新聞社の謝罪コメントもまたふるっていて、まずは非常事態宣言下の不要不急の行動を謝っているのだけれど、もちろんそんな話をしているわけではないのだ。真面目にやれ。

面白いのは産経内部のタレコミ案件だという話で、社説の一件からして何らかの反発を抱えている勢力があるようで、現実は図式的な単純さで説明できないので勉強になる。

鳴動

岐阜で昼過ぎに起きた地震は揺れの到達と緊急地震速報の通知がほとんど同時だったのだけれど、大人数で多極のオンラインミーティングをやっている最中だったので、鳴り響く警報音だけで阿鼻叫喚の騒動となる。突き上げるような揺れ。このところ付近では中程度の地震が続いているので、そろそろ危ないという気分もあるのだが、こればかりは予想がつかず、コロナ篭城用の備蓄をわずかに積み増そうかというところ。しかし経験的には、フォッサマグナの変動は思いがけず遠地の揺れになったりするので、地震に気をつけなければならないのは、もちろんこの地域の人間ばかりではないのである。

民意

内閣の支持率が政党の支持率を下回ってくると求心力の低下が一気に加速するという見方には一理あって、だとすれば当面目指すべきはこのポイントということになる。まず、国会の中継が正常に行われるだけで、これは簡単に実現するだろう。議会が腐るということがあるとすれば、腐臭を放っているのが与党で、これに付き従う維新もいて、まこと地獄の底は計り知れぬ深さがあるのだが、その酷さは一目で了解されるはずである。

してみると、報道の怠慢は指弾されなければならない。

もとから性質は同じなので、下手をすれば自民公明維新の悪魔合体も有り得るのだから、今国会での検察庁法改正の見送りをよろこんでばかりもいられず、それこそ気を緩めれば、すかさず悪事を為そうというのがこのものどもなのだ。投票と世論だけがこれを正常化させることができる。