モニター受難

思わぬことというのは起こるもので、スリープから復帰したディスプレイの四隅の色味が何だか年季の入ったブラウン管みたいに退色しているなどということは、考えたことすらなかったのである。

一方、32インチとはカタログ上の触れ込みで、その実、31.5インチというのが実寸の対角サイズなのだが、大きいといっても誇大とはならない4Kディスプレイの修理と廃棄については、あらかじめ懸念があって、一体どうするのかとは思っていたのだけれど、それを体験することになろうとは。

LGのサポートに電話をかけると、症状を聞き取るや、修理になるから着払いで送ってよこせという指示があり、着払いでいいとは恩着せがましく二度言ったけれど、その方法については要は自分で考えろという話なのである。巨大な梱包箱を捨てずにおいた先見の明がなければ必ずや途方に暮れていたに違いない。それにしたってヤマト運輸に持ち込んだところ、もう少し大きければ普通には受付できないという嫌味を言われたのだが、いや、どうしろというのだ。

GREAT PRETENDER

Netflixで『GREAT PRETENDER』を観る。『コンフィデンスマンJP』の古沢良太脚本で、コンゲームを題材にしたアニメ。何しろNetflixなので制作陣がまず豪華。わたせせいぞうのイラストみたいな美術なのに絵はよく動き、それだけでも楽しい。ギャグとシリアスの振り幅も悪くない。

エンディングはフレディ=マーキュリーの『THE GREAT PRETENDER』で、それが浮いていないのがいちばんの手柄というべきかもしれない。徹頭徹尾、かっこいいのである。

A GHOST STORY

『A GHOST STORY』を観る。角にラウンドの入ったスタンダードの画角での物静かな画面と長回しの多用には、A24制作らしい独立系の色合いが濃い。ケイシー=アフレックはほぼシーツを被った残留思念としてのみ画面に存在しセリフも最低限だけれど、構成の妙もあって上出来というべき物語が立ち上がってくる。音楽は作中でも重要なモチーフになっているのだけれど、ダニエル=ハートのサウンドトラックも素晴らしい。

このゴースト・ストーリーにこわさは、亡霊の存在ではなく、諸行の無常にあって、脚本も書いているデヴィッド=ロウリー監督はおそらく東洋的な幽霊を参照したのではなかろうか。狙ったであろう世界観は高いレベルで現出しており、見応えがある。

#4 敬遠

NHKで『リモートドラマ Living』の第3話と第4話を観る。先週の兄弟姉妹の組み合わせに続いて、今週は実生活で夫婦の仲里依紗と中尾明慶、青木崇高と優香というキャスティングで、やはりどちらもよく出来ている。美術もなかなかなので、これは通常のスタジオ収録と何が違うのか最早わからないとして。

役者としての仲里依紗の素晴らしさは今さら語るまでもないのだが、第3話の夫婦のやりとりは実生活の緊張感もともなって面白くいくらでも見られる。それ以上に見応えがあるのは第4話の青木崇高で、時節と報道の矜恃のテーマを盛り込んだ坂元裕二の脚本をほぼ一人芝居で演じきっている。残念ながら優香は声だけの出演なのだけれど、このエピソードを最後にもってきた全体の構成もカッコいい。

整理整頓

年に一度か二度、断捨離をしたい衝動が起こる時があって、このところあまりやっていなかったMacのクリーンインストールをしてみたり。こういう時は環境構築に入れるアプリも厳選されるのだけれど、もうWebアプリだけでいけるんじゃないかというくらいの気分になっている。

民度

横柄という文字を見ると自動的に思い浮かぶくらい態度の悪い財務大臣が、本邦はその民度によって感染症による死亡者が少ないという妄言を吐いたようだけれどアジア諸国に比べて日本の死亡率が高い現実を知らない様子で、何か気の利いたことを言ったつもりになっているのだから、まず耄碌ジジイにしか言い得ない世迷言であろう。このような生物が存在し、恥ずかしさのあまり消え入らないというのは実際、驚くべきことである。

またしても都合のよい造語で事態を歪曲し、既定路線を堅持しようという動きが「微陽性」なる珍奇な説明を捻り出したのは、ほとんど脳死状態のマスコミの仕事だとしても酷いというほかない。反知性、反科学の態度がジャーナリズムであるはずはないが、この者たちの仕事はいよいよ広告屋のようになってきた。知識レベルの十分でない層を狙った宣伝はゲッペルスの手法と選ぶところがない。

そしてほとんど全ての事業で不明朗な金の流れがある振る舞いの政権が、予備費10兆円を懐に入れて組織的な公金横領の集大成を達成しようとしているようにしか見えない初夏。