地獄少女

『地獄少女』を観る。2019年の白石晃士監督による実写映画。原作となっているTVアニメは未見。人を呪わば穴二つの原理に従って展開する物語は、大映ドラマみたいな雰囲気で何かと大仰だけれど、劇画の面白さと白石ホラーのテイストは、ほとんど違和感なく融合していて、それなりに面白い。登場人物の感情と思考は総じて幼稚で業というレベルにないし、序盤からチラつく地獄少女の影は何故なのか結局、よくわからない白石脚本の粗さが気になるとして。

玉城ティナの演じる地獄少女 閻魔あいと「いっぺん、死んでみる?」のセリフは完璧とみえ、表情もひと通りなら、それ以外の演じどころがないのも残念といえば残念。

黒暗森林

『三体II 黒暗森林』を読み終える。かなり時間をかけて読了ということになったのだけれど、トリロジーの3作目が出てくるのが来年ということであれば一気に読んでしまうのは勿体ないというものである。

前作を受けて始まる内容は評判通り太陽系のスケールに拡大して陳腐とならず、フェルミのパラドックスを正面から扱って論理的帰結としての宇宙観を提出してくる構想力には感服する。そして、劉慈欣がどうやら『銀河英雄伝説』のファンらしいことにも好感を持たざるを得ない。

発疹

エビの祟りは引き続き手足に残っていて、体も全体に何だかだるい。エビを食べた後の症状であるという因果関係がなければ、倦怠感に加えて、血管の炎症によって発疹とみえる症状もあるという噂の新型感染症を疑うところである。だいたい、エビでアレルギー症状を呈することなどなかったことを思えば、これはアナフィラキシーなのかという疑いも成り立つにして。

1日の新規感染確認は1,200人を数え、これまでで最多を記録。

アナフィラキシー

ウィル=スミスの映画で『Hitch』というウェルメイドなラブコメがあって結構、好きだったのだけれど、デートのシーンで主人公のアレックスがエビの料理を食べてアナフィラキシーショックを起こすベタな場面があったのである。

晩に焼いたエビを食べ、にわかに湿疹が現れた時には、すかさずそのことを思い出したのだが、そういえば喉の奥にもちょっと違和感がある。もともとエビに対するアレルギーはなかったと思うのだが、いや、ちょっと疲れているみたい。

上塗り

もう随分と長い間、忍耐を試されているのは間違いないのだけれど、感染爆発下でのGO TOキャンペーンだけでは足らないとばかり、アベノマスク追加配布 8,000万枚のニュースには仰け反る。Twitter界隈ではこの擁護芸が可能なのかというあたりが微妙な関心事ではあるけれど、そんなことが可能だとして地獄のような醜悪さであるに違いないので敬して遠ざける。何にせよ、今のところ、この政権の歴史的な無能さに新たな証拠を付け加えたという点のほか、いかなる意味も見いだせないという点で、恐るべき政策というべきではないのか。

ワンダーウォール 劇場版

『ワンダーウォール 劇場版』を観る。NHKの京都発地域ドラマに未公開カットを加えて構成したディレクターズカット版。68分の印象はテレビで観たものとほぼ変わらない一方、巻末に2018年以降の経緯がテロップされ、改めてエールが送られる。吉田寮については京都大学が強硬な姿勢を崩さず、2019年5月に開学以来、初めて大学当局が学生に対して訴訟を起こしたのは伝えられている通り。

改めて観てもドラマとしてよく出来ている。語るべきことは狂言回しとしての成海璃子にまかせることで、食べ物を分けあい、無秩序になかに秩序と気遣いがある寮生の動物的生態が際立った群像劇となっており、渡辺あやによる脚本は見事。「和敬清寂」の掛け軸が発見され、図らずも暁の茶事に至ってエンディングという流れが大変好きである。

MIU404 #5 夢の島

『MIU404』(第5話 夢の島)を観る。日本スゴイの醜悪な実相を扱って、技能実習生制度の実態に関心ももたないメディアと国民をも鋭く指弾する。ジャパニーズドリームが嘘だというのはもちろんただの台詞ではなく、政権につながる悪に鉄槌を下す筋書きとなったのも作り手の願いですらあるだろう。

同時代的なテーマをきちんと投げ込んでくるのが脚本家のいいところだけれど、空恐ろしいほど時節を言い当てることが多く、このタイミングで”GO TO GOTO”にはびっくりする。そしてシリーズは折り返しとなって、これまでの不穏な伏線を回収していく流れ。