初恋

『初恋』を観る。久しぶりに三池崇史監督の映画を観た気がする。三谷監督のヤクザ映画でもあるからには、PG12の基準がわからないくらいのドギツさもあるのだけれど、その泥沼と対比させながら、ボクサーと不遇な少女の一夜の物語を『初恋』というタイトルで編もうという狙いはよく成就していて、絶妙なバランスが成り立っている。

死を宣告されたボクサーの窪田正孝、薬物中毒で最低の境遇にある少女の小西桜子、トリックスターの役回りの染谷将太、悪徳刑事の大森南朋、復讐に燃える女のベッキー、刑務所帰りの武闘派の内野聖陽。脇役ですら哲学を語るキャラクターの立て方もいいけれど、各勢力入り乱れての乱闘にもきっちり尺がとられていて、それぞれに見せ場があるのだから満足度も高い。面白いのである。

不要不急の銀河

NHKで『不要不急の銀河』を観る。CIVID-19状況下におけるドラマ制作の試行錯誤についてのドキュメントを踏まえて又吉直樹脚本のドラマにつながるメタ構造をもったつくりで、本編のほうは自粛によって廃業になろうかというスナック「銀河」を経営する家族の物語。チイママが夏帆、その夫がリリー=フランキーというキャストで雰囲気は決まっているというものだが、困難な日常にあってストレートに中島みゆきの『ファイト!』を引用した讃歌である点はかえって評価できる。

一方、現実世界では東京都の新規感染確認が366人を数え、全国では初めて1日の感染確認が900人を超える。

LETTERS

本日リリース。BiSHの『LETTERS』を聴く。

東京の感染確認は238人。この日、行われたモニタリング会議では重症者の数を現状の安心材料に数えるべきではないという報告があったという報道の直後、この国の首相がまさにその理由をあげて無策を正当化する。東京ばかりでなく、大阪、愛知といった大都市圏で過去最多を記録する状況にあって、8月を待たず、事態は急速に悪化するだろう。

復旧

クレジットカードでデポジットをとられるという仕組みがいまいち納得いかないのだけれど、白箱に入った交換品のMagic Keyboardは速やかに届き、引き換えにこれまで使っていた品はヤマト運輸にドナドナして行かれる。置き換えたところでTrackpadの動作は戻ってきたので、やはりMagic Keyboardのハードウェア故障だったと思うのである。壊れそうな機構はほぼ存在しない製品でありながら、やはり精密機械であるということか。動作確認して問題がなければ修理完了という案内が同封されていて、これにて一件落着。

カスタマーサクセス

Magic Keyboardのトラックパッドが突然、機能しなくなる不具合がこのところ何回かあって、iPad OSの初期化を都合3回ほどやり、そのうち1回では解決しないこともあったのでサポートとはずいぶんやりとりをしたのだが、結局のところ郵送での交換ということになるまで、まずは150km先の店舗に持ち込んで欲しいという話まであったのだから、ブツのサポートというのは大変な話なのである。

LGなら着払いで送って寄越せと言うだけで、しかし修理あがりは2週間以上あとという展開だが、最高の顧客体験のために勿体ぶったやり取りで電話越しに2時間というのもいただけない。こちらにはよくわからない事情でエスカレーションが行われ、個人情報の受け渡しができないという理由で初めから説明をし直しということでは、なんだかクレーマーにでもなった気分だけれど、こっちは問われるがまま答えているだけなのである。リモートによる診断というのも初めて経験し、見聞は広めたが正直言って、修理の手続きに顧客体験を実装しようというのは不毛な過ちではないのか。着荷の連絡すらないLGはずいぶん雑だと思ったものだが、慇懃よりはマシなのではないかとすら感じたのである。

来る

『来る』を観る。静かに軋みを上げるような欺瞞的な日常から、やがて怪異が顔を出す。かさぶたを引き剥がすようにして不穏が現れるまで30分。妻夫木聡と黒木華のドラマと思いきや、岡田准一と小松菜奈の登場により位相が転移してからが面白い。

登場人物のえげつなさが中島哲也の画面の色遣いと相俟って毒虫のようなおぞましさが立ち上がってくる。怪異は来るのではなく顔を出す。空っぽであることを念入りに描くことで、観客さえ、知らぬ間に呪う側に回っている脚本の妙は素晴らしい。ホラー・エンタイテイメントという惹句には案外、端倪すべからざるところがあって、クライマックスに繰り出されてくる一群の外連は最高と称賛する他ない。

Trackpad問題

今や言うまでもなく、Appleの製品は概ね満足できるものと言えるのだけれど、iPadのキーボードに関しては鬼門といえ、これまでSmart Keyboardの接地がバタつく問題と接点不良で動作しなくなる問題を経験している。ここに新たに加わったのがMagic Keyboardのトラックパッドが動作しなくなる問題で、Appleのサポートとひとしきり電話したけれど、結局はハード交換となりそうな雲行き。

これまで3回ほど初期化をしてその都度、復活するのだけれど、いつの間にかトラックパッドが全く反応しなくなる不具合で、初めてリモートでの診断を受け入れたのだけれど本体の問題ではないみたい。今回も初期化によって動作するようになっていたので、問い合わせ番号を発行してもらって、しばらく様子をみることにしたのだけれど、症状は速やかに再発し、いやはやという感じになっている。