ハヤカワの近刊でメアリ=ロビネット・コワル『宇宙へ』を読んでいる。1952年、アメリカ東海岸を壊滅させた隕石が環境の激変を引き起こし、人類は生き残りをかけて宇宙開発に取り組む。歴史改変テーマのSFとして題材では『フォー・オール・マンカインド』を想起させるけれど開巻から甚大な被害が描かれて、アポカリプスファンとしても満足度が高い。恐るべき温暖化が予測されるロジックについては今のところ十分な説明がなく、エネルギー保存則に照らしてどうなのかという気がしなくもないにして。
『フォー・オール・マンカインド』だけでなく『Hidden Figures』を想起させるセクシズムやレイシズムの文脈もあって、どちらかというと映像的な雰囲気であり、作者の公式ウェブサイトをみると”Lady Astronaut”という(ちょっといかがなものかという)シリーズで三部作くらいになっているみたいなので、ゴリゴリのハードSFではないということには薄々気づいている。まぁ、それぞれの花ありてこそ野は楽し。