休み明け

休み明けには七人の小人が仕事を完成させておいてくれるという一縷の望みを踏まえた結果として、あらゆるアウトプットが連休明けに予定され、当然のことながら小人は出払っていたことが次々と判明する憂鬱な休み明け初日。危険とまで言われる暑さは各地で続いており、当地もまあまあ危険で内憂外患といえ、テンションは低空飛行。

話は違うが、国策としてのオリンピックが夏に強行される運びとなった暁にも、ニュースは「危険な暑さ」という警告を重ねて連呼すべき責任があることを銘記されたい。

送る夏

標高1,000mに近い当地でも日中の気温は30度を超える暑さで、クーラーの効いた室内から出ることなくごろごろとしている。出ると溶ける。お盆にBSで『京都人の密かな愉しみ Blue 修行中』の再放送を観て、そういえばこのシリーズの続編はどうなったかと探したのだけれどまだみたい。

もちろん現下での制作はコロナの影響を受けているはずだけれど、かつて主役交代や出演者の物故を乗り越えてきた『京都人』であるからには、必ずやこれを乗り越えて連なる物語が語られるに違いないと思いつつ、Social Distancing仕様で6箇所のみの点火となった京都五山送り火の写真を眺める。

75年

戦後75年の終戦の日。昨年の広島原爆の日、朝刊に戦争への言及がわずかであることに慄然としたものだが、今年はその不見識を埋め合わせようとするかのように充実した戦争報道が多い気がする。この観測事実が自身のエコーチェンバーに限ったことなのかは不明だが、昨年のありさまが、歴史修正主義に傾斜した政権が忖度を求めた結果であったとしても驚かない。コロナ禍においてその影響力が減じているとすれば、我々は投票行動によって息の根を止めてやらねばならぬ。

MIU404 #8 君の笑顔

『MIU404』の第8話を観る。この回でUDIラボの坂本 aka 飯尾和樹が登場することは事前に告知されていたのだけれど、連続殺人事件の見立てに対して重要な示唆を与える役回りで中堂系(声だけ)と神倉所長がサプライズで登場してその仕事ぶりはアツい。第9話の予告では毛利刑事と向島刑事も再び登場するようだし、もうレギュラーということでいいのではないか。物語はピタゴラスイッチのモチーフを繰り返し、ますます不穏。笑顔を思い出すことができない理由が明かされる物語の手つきはミステリーとしても極上というべきだろう。

iPad ProのMagic KeyboardのTrackPadが突然死する問題が再発し、してみるとわざわざハードウェアを交換したことにはあまり意味がなかったみたい。キーボード側にUSC-Cの電源コネクタをつなげた状態で本体を装着すると何かの条件でトラックパッドが死ぬのだが、今回は再起動して、本体のコネクタにUSB-C電源をつなげてキーボードに装着することで、この症状では初めて初期化せずにトラックパッド機能が回復した。要するに電源に関連する何らかのバグなのではあるまいか。英語圏の掲示板ではそれなりに報告例がある様子で、今さらながら、こういう事例ではサポートより集合知のほうが問題を捉えていることを認識する。

駆逐艦キーリング

『グレイハウンド』が面白かったので、原作となったフォレスターの『駆逐艦キーリング』を読んでいる。トム=ハンクスの脚本はかなりうまいこと整理されており、原作のおいしいところはすべて盛り付けてある印象で、やはりなかなかのものである。

大きな改変は艦の名称、そして割愛されている大西洋の凍てつく寒さというところ。いかな最新のVFXとはいえ、気象描写については小説の奥行きが勝り、コーヒーとサンドウィッチもこちらのほうが圧倒的に美味そうなのである。

グレイハウンド

『グレイハウンド』を観る。COVID-19の流行のかなり初期にオーストラリアで罹患したトム=ハンクスその人が、C=S・フォレスターの小説『駆逐艦キーリング』を原作として自ら脚本を書いた話題作だったのだけれど、感染拡大の影響で公開は延期となり、ソニー・ピクチャーズが配給権を放棄しApple TV+が7,000万ドルを投じて配信することになったという経緯がある作品。

御大は映画館で上映できないことを残念がっていたけれど、なるほどスクリーンであればまた迫力が違うだろうと思わせる映像で、91分というコンパクトな尺でありながら、Uボートとの戦闘に次ぐ戦闘で全体が構成されており、第二次世界大戦に余程、興味があるのだろうトム=ハンクスが脚本というだけあって戦闘時運用のディテールが密なので、かなり見応えがある。素晴らしい。

浮上したUボートとの超近接戦闘とか、夜間の友軍相撃とか、マニアックな企みがぎっしり詰め込まれている印象だし、主人公のクラウス艦長が食事を摂ろうとすると敵襲がある反復や細かい演出も効果的。一方、フォレスターの小説の原題が”The Good Shepherd”で、敬虔なクラウス中佐と護衛艦隊の牧羊犬的運用を重ねて想起させる優れたタイトルなのに、艦名そのものがちょっとイキった感じになっているのはどうなのか。

ヴェノム

『ヴェノム』を観る。マーベルではなくソニー・ピクチャーズが『スパイダーマン』のヴィランであるヴェノムを主人公にして、つまるところMCUの世界観に強引に乗っかろうとしている感じがしなくもなく、例のスパイダーマンMCU離脱問題の原因にもなっているようだけれど、トム=ハーディのキャスティングは悪くなく単独のアンチヒーローものとして楽しめる。

T1000みたいな液体系のVFXにはあまり進歩の様子がなく、全体に随分と子供向けだとして。『デッドプール』なら生首が転がるシーンで、死体すら登場しないというのが本作の基本的なコードのようである。