エレベータースピーチ

Netflixで『スタートアップ』の第14話を観る。吉例に従いシリーズ全16話という構成であれば来週で完結の終盤、ハン=ジピョンがあまりにもいい男なので泣いている。一方、いくらなんでも不自然なタイミングで居眠りをして目を覚まさないダルミには、ドサンを手玉に取る底知れぬ腹黒さを感じ、全編のヤマ場というにはストーリー上の無理があるのではあるまいか。前段に睡眠をとれていないエピソードでも入っていればともかく、余分な演出が多い韓国ドラマの世界にあって、やけに唐突な展開になっていると思うのである。主人公の男女はもうどうでもいい感じ。

西日本を中心に各地で観察された火球の映像を見る。あらゆる場所で動画が記録されている現在、こうした瞬間が高い解像度で残る機会は以前に比べると飛躍的に多くなっているけれど、昨夜の落下は満月並みの明るさを伴ったものとされていて、『ガメラ2』を想起する絵面には思わず見入る。消失の瞬間、急制動から着陸の挙動があったとしてもおかしくない。それはともかく、実際には大気圏への突入がそれなりの頻度であるとして、地殻津波を引き起こすほど巨大な質量でないのは、単にそれゆえ人類が滅亡していないからという生存者視点のバイアスがあるからに違いない。この宇宙の片隅で、我々はいつ滅びていてもおかしくはないのだ。

コンフォートゾーン

そろそろ朝晩の冷え込みもきつくなってくるだろうというわけで、車のタイヤ交換に出かけ、帰って『スタートアップ』の第13話を観る。だいたい先週の予告で覚悟した通り、ハン=ジピョンにとっては束の間の幸福な時間という感じで心がざわつく。ランサムウェアを退治するという厨二展開もいかがなものかと底意地悪くみている。諸君、結局のところセカンドリードは報われない運命なのだ。

東京の感染確認は日曜日の最高を更新し、いつもより暖かい11月が終わろうとしている。12月の予報は冬らしい寒さの訪れを予想しているのだが、気温が下がればもちろんウイルスの感染は増えることが既にわかっており、現時点でのアップサイドはどうやら、やがて春が来るということだけなのである。

国内の新規感染者は2,684人を数え、過去最高を更新した。増加のペースは指数関数的な爆発の段階に至り、再び各地での自粛要請が始まっているけれどGoTo事業は継続という異様な状況で、またしても国民の自粛を頼みとしてこの山を乗り切ろうという為政者の姑息な他力本願が透けるけれど、もちろんこれまでピークを更新し続けてきた増加傾向自体は止むことがないので、本邦にもじき北米のような状況が到来するのではないか。

すでに多くのICUが埋まり通常医療に支障がある状態というが、軽症から中等症の患者が突然、死ぬのがこの病気の傾向でもあるというから、事態は矮小化のしようもなくなると思う。この冬、インフルエンザの報告は通常よりも大幅に少ないというけれど、それでも感染が続くのがこの病気だとすれば、大したことはないという向きは世迷言としか聞こえない。

ダッシュ&リリー

Netflixで『ダッシュ&リリー』を観る。クリスマスの時期を孤独に過ごすことになったティーンエイジャーのふたりが、祝祭の雰囲気のニューヨークで文通のようにノートをやりとりしながら互いに知り合っていく。今や懐かしいCOVID-19以前のクリスマスの物語で、あらゆるクリスマスの記号が心地よい。そしてNetflixらしい多様性を踏まえたキャスティングと物語が本当に素晴らしい。

25分の8話構成でダッシュとリリーの双方の視点でストーリーはすすむ。それなりの時間にはなるけれど、通しでみるべき話であるだろう。そして最終話でリリーが日系という設定だったと知って魂消る。そうなのか。

ERGO M575

このところはマウスを使うことはまったくなく、Logiのトラックボールを会社でも家でも使っている。慣れてしまえばこの上なく快適で、そういえば腱鞘炎っぽい違和感も感じることはなくなったようである。MX ERGOの唯一の難点は、マット加工のラバー部分に加水分解気味のベトつきを感じることがあることで、たまに無水エタノールで拭いてやらないと気持ちよく使えない。

名機M570の10年ぶりの後継としてM575が発売され、抜本的にブラッシュアップされたのは間違いないのだが、いちばんの魅力は表面がプラであることかもしれず、2台に接続できるMX ERGOのほうが高価格なりの作りの良さがあるとは知りながら、ふらふらとこれのホワイトモデルを買い求めたのである。無論のことトラックボールはトラックボールなのだが、これもやがて名機と呼ばれるには違いない。

ROMANCE

エレファントカシマシの『Easy Go』は時折、聴きたくなるのでライブラリに収まっているのだけれど、それをいうなら宮本浩次の歌う『赤いスイトピー』の動画がYouTubeにあって、これも何回か観ている。女性シンガーの歌であろうとファルセットになることなく音を出し切るボーカルの力は確かだと思うのである。

その宮本浩次が初めてカバーアルバムを出したと思ったら、『赤いスイトピー』含む全12曲が女性ボーカルの名曲で、冒頭の『あなた』から聞きどころが多い。これは名盤というものではないか。

自業自得

トランプが自身のリーガルチームを、自分の印象を悪くしているだけのバカの集まりではないかと思い始めて苛立っているという話を伝えるニュースには、まず大統領にもなると何ごとも自分中心であるのは間違いないと思いつつ、それは人徳というものだろうというのが大方の見方に違いない。無論のこと、類が友を呼んでいるに過ぎないのだが、分断をすすめた結果、ついに自分の陣営にすら頼りがなくなった独裁者の末路はおかしくもあり哀れでもあり。

ヒトが無防備に空間を移動することが感染を拡大する結果をもたらすのは自明であり、恣意的なグレンジャー検定の引用でGoToと感染拡大の因果関係を否定しようとする厚生労働省の遣り口を批判する西浦教授の寄稿を読む。本邦の官僚のレベルは既に地に落ちて、これが仕事だというなら優秀な人間が行政を目指すことはなくなり、結局のところ国力は速やかに衰退していくだろう。もうその分岐は過ぎていると思わざるを得ない。