ミッドナイト・スカイ

Netflixで『ミッドナイト・スカイ』を観る。リリー=ブルックス・ダルトンの『世界の終わりの天文台』が原作で、ジョージ=クルーニーが監督して主演も務めている。原作の原題が『Good Morning, Midnight』だからか、ちょっとジョージ=クルーニー的にかっこいいタイトルだけれど、イメージとしては邦題の方が合っているし、主人公は人生の黄昏にあるのでアクションの要素はほぼ存在せず、どちらかといえば来し方の回想が結末につながっていく種類の物語なので、少しは前提知識がないとギャップを感じるかもしれない。

『ゼロ・グラビティ』と『レヴェナント』を足し合わせた映画として構想され、脚本も『レヴェナント』のマーク=L・スミスであると聞いただけでは訳がわからないが、そう思ってみるとたしかに両者の雰囲気はあって、何故そんな映画が作られねばならないのかという疑問だけが残る。作品の評価自体は今のところパッとしないようだけれど、大方に残るのはそのあたりの不思議であろう。

監督としてのジョージ=クルーニーは過去の回想シーンに別の役者を起用したり、難しめの語りをそれなりにうまくこなしているけれど、アイリスという少女の不思議は、子役のケイスリン=スプリンゴールの存在感への驚きはあっても、もともと映像での表現に向いていない気がする。

イギリスからの使者

変異株が取り沙汰されているCOVID-19についてイギリスからの入国実績は目下のところ1日に150人程度であるところ、1人か2人と述べた本邦の総理大臣は事態を矮小化しようとしてゼロと言えないところに器の小ささがあると思うのだけれど、そんなことはどうでもいい。

イギリスにおける新たな感染確認は12月22日の時点で1日あたり36,803人と急激に増加しているが、国全体の人口が6,700万人程度として150人の集団に陽性者が含まれる確率は、古瀬先生のシミュレーターによれば97.3%となる。

つまりいわゆる変異株が国内に入っているのはほぼ確実な状況で、結局のところ遺伝子検査が十分に行われていないから発見できていないだけという前提でものごとを考えるのが危機管理であって、そもそも危機を認識できない人間が指揮をしているのであれば国は滅ぶ。

Cyberpunk 2077

よくないことだとは思うのだが、それを動かすことができるスペックのPCがあるという理由だけで『Cyberepunk 2077』をSteamで買ってしまう。前科でいうと『Death Stranding』もライブラリにはあるのだが、ろくに進んでいない状況で、オープンワールドの重厚なシナリオに時間を投じる根気など持ち合わせていないのは明らかなのである。

コンソール版では不十分な開発と強引な発売によるバグの多発が祟ってストアから削除されるという状況だが、PC版はそこまでひどい感じでもないにして、しかし企業が支配する世界を彷徨するアウトサイダーを中心に据えたシナリオのゲームが、開発会社による搾取労働の賜物であるという現実には遠い目にならざるを得ない。

師走

年末というわけでソフトウェア環境の整理をしていて、WindowsとMacで程よい連携を行うためのサービスの乗り換えも検討しているのだけれど、一長一短というところがあり結局のところあれこれ思案して進捗がない。当方にとっての師走はこれが実態で、つまり壊れてもいないものを直す作業に時間を費やしている。

ノストラダムス世代なので、いわゆる予言の類を好んでしかし信じることはないのだが、COVID-19関連のインドの天才占星術少年とかいう話は12月20日と明確な日付があったので憶えていたのである。この頃、出現する新たなウイルスが世界に蔓延するという話が、ヨーロッパの変異株の報道と重なって言霊の成就というのはまことに奥深いシステムをもっていると感心する。いやはや。

あとで読む

かつて一世を風靡した「あとで読む」Webサービスも、最近ではとんと話題にならない感じだけれど以前、無料版でわりあいよく使っていたpocketのアーカイブを眺めているとNot Foundとなっている記事がそれなりにあって、有料サービスの永久アーカイブ機能はやはり必要なのではないかという気になっている。

とはいえ、構文解析の問題からか、そもそも保存されないサイトもそれなりにあるので、PDFに出力して保存する昔ながらの方法が結局のところ確実だし、Safariにリーディングリスト機能が実装されて存在意義が揺らいでからこっち、pocketもInstapaperも技術的な進歩がほとんど止まっているのではないかという気がしなくもない。結局のところ、どれだけ簡単に確実にアーカイブできるかが価値だとすると、リーディングリストも含めて一長一短という悩ましさがあると思うのである。

有村架純の撮休

Netflixで『有村架純の撮休』を観る。有村架純その人の休日をテーマにしたオムニバスドラマであるからには、少しコミカルな内容なのかと思っていたら、是枝裕和監督の第1話はあまりに直球の是枝ドラマでちょっとたまげる。こういう人生劇場は全く予想していなかったのである。へえ。

そして第2話には伊藤沙莉が出演していて、劇中劇に『ひよっこ』の磯村勇斗が出ている(しかもその役回りが面白い)という豪華キャストだけれど、有村架純のセリフもふるっていて、まず居住まいを糺すことなしには観られない。

なんか分かってきたんだよね。
世間の男が私に求めるもの。
けなげに働いていて、自己主張せず、男の一歩後ろをついてくるような女。

そして年末に向けてNetflixのウォッチリストは長くなる一方である。

Sweet Home

そしてNetflixで配信の始まった『Sweet Home』を観る。冒頭から大作の雰囲気があって期待は高まる。ゾンビというよりは怪物と化した人間が跋扈するアポカリプスものみたいだけれど、第1話は日常に亀裂が入って非日常が姿を現すまで。ある意味で世界が滅びる物語のいちばん面白い部位ともいえるこの導入を、素晴らしく不穏な雰囲気で描いていて、ぐいと引き込まれる。面白い。

問題はこの10話をどのようなペースで消化していくかということであるのだが。