非生物的な現象から生命が誕生した最も現実的なシナリオという東京大学の発表を読んだのである。
「猿がタイプライターを叩いてシェイクスピアの作品が出来上がるようなもの」という無限の猿定理をひいて、RNAがランダムな反応から偶然生じる可能性の低さを述べつつ、インフレーション的に拡張された宇宙ではその確率も起こりうるほどの星の数があるという話なので何だか騙されたような気分にもなるのは措くとして。
したがって138億光年といわれる観測可能な宇宙の範囲にこの星を出自とする以外の生命が発見されていない観測事実と合致するという荒涼とした結論には、『アド・アストラ』のトミー=リー・ジョーンズを思い出したものである。