A GHOST STORY

『A GHOST STORY』を観る。角にラウンドの入ったスタンダードの画角での物静かな画面と長回しの多用には、A24制作らしい独立系の色合いが濃い。ケイシー=アフレックはほぼシーツを被った残留思念としてのみ画面に存在しセリフも最低限だけれど、構成の妙もあって上出来というべき物語が立ち上がってくる。音楽は作中でも重要なモチーフになっているのだけれど、ダニエル=ハートのサウンドトラックも素晴らしい。

このゴースト・ストーリーにこわさは、亡霊の存在ではなく、諸行の無常にあって、脚本も書いているデヴィッド=ロウリー監督はおそらく東洋的な幽霊を参照したのではなかろうか。狙ったであろう世界観は高いレベルで現出しており、見応えがある。