いちごの唄

『いちごの唄』を観る。岡田惠和が銀杏BOYZの楽曲にインスパイアされて書いた連作短編小説の映画化。峯田和伸がイラストを描いて共著となっているこの原作の映像化に投入された女優陣の分厚さにまず驚く。2019年の映画だが、石橋静河、清原果耶、岸井ゆきの、蒔田彩珠、恒松祐里を今キャスティングするとなったら、盛り過ぎといわれるのではなかろうか。

七夕の日に年に一度だけ会うことになった二人の物語のなかで、舞台となる環七通りは天の川に擬えて撮られているのだが、銀杏BOYZの歌と同じくその美には実存と手触りがある。主人公を演じる古舘佑太郎のキャラクターは峯田和伸に当て書きしたようにちょっと極端なのだけれど、この世界観において悪くない。

この日、日曜日の各地の新たな感染確認数は、これまで曜日によって生じていたアノマリーを無視して振る舞い始める。これがヤバいと感じられないとすれば、そもそも危機管理のアンテナが立っていないか、アタマのネジが飛んでいるのであろう。

百貨店の食品売り場を中心としたクラスターではこれまでと全く異なるレベルで感染の広がりが確認され、デルタ株の異質な感染力を可視化する。そもそも水疱瘡と同じ程度の基本再生産数であるとするならば、誰もが子供のうちに一度はかかるくらいの威力があるということだ。店舗に自主休業を求めるタイミングがあるとすれば今だが、そうした動きにならないのもオリンピックの弊害であるには違いない。知事会は県境を跨いだ移動、帰省の自粛を求める国民向けのメッセージを検討しているそうだが、したがって通勤を行うなという強さになければ、この感染爆発が収束する見通しは立たないだろう。