東日本大震災から10年の節目を前にして、福島第1原子力発電所の現在の状況を伝える報道が増えてきて、わりあい関心をもってこれらを追っている。燃料デブリは数百トンの夾雑物と成り果て、今やこれを処理しようというのは無理で、その作業によって放射性物質を撒き散らす怖れさえあり、一方、冷却作業によって放射能に汚染された膨大な水が産み出され続けているのが現時点で、どのような解決なら辿り着くことができるのかさえ定まっていないというのが「アンダーコントロール」の実相なのである。
目指すべきとして言及されるているのは、どうやら帰還困難地域の放棄と引き換えになされる事故現場の石棺化と空冷による冷却ということになるが、結局のところこれは今後100年単位で続く国民の無関心によって達成されるだろう。そして同じ無関心が国家をも蝕んでいくだろう。