ドロステのはてで僕ら

『ドロステのはてで僕ら』を観る。ヨーロッパ企画の十八番である時間もののオリジナル映画で、原案と脚本は上田誠。70分の尺が長回しのように構成されているのが見どころのひとつで、2分先と繋がったモニターごしの会話というアイディアを押し広げて物語が展開する。絵の中の絵というドロステの構造を映像作品で表現しようという趣向がまずいいのだが、長回しのライブ感がその面白味を増して、なかなか良く出来ている。舞台がヨーロッパ企画でおなじみのカフェということもあって、脚本と構成の力だけで物語をものにしている印象が強い。

考証が問題になる映画ではないのだが、パソコンはともかく、テレビ越しに会話をすることの違和感は意外に大きい。iMacの電源ケーブルも20メートルくらいある様子だし、とにかく結構、強引ではあるけれど、それでいいのである。

製作にあたってはクラウドファンディングを利用したということだけれど、エンドロールのメイキングを観る限りでは完全にiPhoneで撮影された Shot on iPhone ムービーでもあって、時代の変化を知る。もちろん、画面のクオリティは文句のないものである。