Netflixで『ブラックホール 知識の境界線に挑む』を観る。地球上の8箇所の天文台を連携させた Event Horizon Telescope によるブラックホールの撮影と画像化に取り組むEHTチームと、ホーキング放射がもたらす情報パラドックスの研究のさなか、スティーヴン=ホーキングその人の訃報を知る理論物理学者のグループを追ったドキュメンタリー。どうしてか今やその存在を疑う人もいないだろうほどにメジャーとなったブラックホールだけれど、アインシュタインの理論が示した存在を実際に確かめたといえる初めての成果で、100年がかりの実証だとすれば当事者の興奮もよくわかる。重力波の観測とあわせ、一般相対性理論の確かさを証明する証拠は積み上がっているけれど、これまでの苦闘そのものが宇宙の深淵の深さを想像させるのである。