この時勢に、入院拒否に対して罰金という感染症法改正案の原案がわざわざリークされるのが、どういう意図によるものなのかよくわからないのだけれど、強権をちらつかせるというのが統治の基本的な姿だと了解しているとすれば、そういうこともあるのだろう。
そもそも入院できずに亡くなっている人がいる状況に照らせば、ただ政治の暴虐だけが際立つ話だ。
ことここに至り、法制の変更は平時において法理に照らして慎重に行えという意見には説得力がある。今回の改正案報道にしてからが、現実の過酷に対応しようというのではなく、厳罰化自体に意味を見出そうとしているではないか。
神奈川では、保健所の負荷軽減のために濃厚接触者の追跡調査の対象を縮小し、同居者と接触確認アプリの通知対象に絞り込むということだけれど、COCOAの通知範囲が1メートル以内に15分以上いた場合というだけでも実効性が疑わしいのに、12月には発症14日前から2日前とさらに緩い方向に仕様が変更されているとあっては事実上、感染確実な同居者しか捕捉できないという事になる。
実際のところ、こうした変更は単に現状の追認に過ぎず、できないものはできないということなのだろうが、検査を抑制し、接触者の追跡調査も行わずということであれば、市中に感染が蔓延することは避けられまい。しかしこの上、横浜市では数万人を集めて成人式をやろうというのだから、行政は判断停止して機能していないということではないのか。