中止だ中止

オリンピックで人流が増えれば変異株がなくても第4波を超える感染者数の再拡大が見込まれるというシミュレーションについてのニュースが流れ、似たようなタイミングでアメリカが日本を渡航禁止対象国としたことを知る。人口あたりの感染者はそろそろ逆転され、いや、比較的には検査数が少ないことから既に逆転されているだろうことまで勘定に入れれば、相対的なリスクが高いのだから当然の帰結として、普通ならこれで五輪中止の流れに傾くだろうことを期待している。

CDCの判断はおくとして、さきに訪米した韓国の大統領との扱いの差からは本邦の首相が相当下に見られていることは明らかで、つまり民主主義という価値観を共有できるかどうかという尺度からすれば、この政権は真の同盟国ではないとバイデン大統領が考えていても不思議はないのである。これは最後通牒であるという見方もできる。

しかし、そういう状況で都内の児童80万人を観客として動員する話が真顔で語られるのも、税金で計上された50億円に迫るという費用を組織委員会を通じてプライベートセクターに還流させようという企みの一環であるに違いないし、もちろん旅行会社が間に入って中抜きをしているということなのである。オリンピックは集金マシンであると同時に、公金を抜き取るための装置であって、何もかもが口先だけの本邦にあって、そんなシステムばかりは猛然と機能している。民主主義という価値観を共有できない政府であることは確かであろう。