ここぞとばかりに意気込んで、しかしイキっているというよりは、ぎこちなく、それ以上に戦略センスの決定的な欠如を露呈しつつ、感染防止とワクチン接種が「二正面作戦」だと本邦の首相はいう。
ワクチンは高齢者接種の段階で難航して、感染拡大予防というよりは重症化防止のレベルにとどまっているし、徹底検査を伴わない自粛頼りの非常事態宣言は戦線すら構築できずにいる持久戦で、施策が連携しない言葉通りの二正面作戦であるがゆえに国民の生活は疲弊しているのである。この国がコロナの戦いで攻勢であったことはなく、戦力分散の愚をいたずらに重ねていることの自覚があれば恥じ入らずには使えない言葉であろう。