『今ここにある危機と僕の好感度について』の第4話を観る。最終話一歩手前、先週の休みを挟んで物語は主人公の神崎が謎の症状で発熱している状況から始まる。自覚症状のばらつきがある原因不明の病気が蔓延し、都合の悪い真実は必ず隠されると内部の人間が信じる組織において、見当違いの検査で隠蔽される事実。大学の威信をかけたイベントの開催のために見て見ぬふりをする理事たち。相変わらず、渡辺あや脚本の寓話性は怯むことなく、そうとわかるように現実をトレースして、伊武雅刀の身も蓋もないナレーションと相俟ってぶすぶすと刺してくる。滅法面白い。
そして現実では、IOCの会長が「五輪の夢を実現するために誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」と恐ろしく尊大な物言いで、おそらく当人はいいことを言ったとでも思っているステートメントが報じられて、辛辣な寓話を上回るブラックな状況になっているのである。ファシズムの信奉者の言いようと、どこか違うところがあるのだろうか。つまりオリンピックが第三帝国に利用されたのと同じ方法で、IOC自身が自らの野心を達成しようというのである。地獄か。