『囚われた国家』を観る。エイリアンに制圧されてから9年後、人類はその支配の下にあって地下資源の採掘に協力しながら生存を許されていた。幾度かの抵抗の企てに失敗しながら地下組織は同胞の追跡を逃れて活動を続け爆破テロに成功したが、といった筋書きの侵略もので、抵抗活動の描写に補助線が描かれていくことで、ことの全貌が明らかになる。ジョン=グッドマンやヴェラ=ファーミガが渋い役柄を固めて、わりあいよく出来たエスピオナージュのような味わいがある。観る者を選ぶとは思うけれど、悪くない。2019年の映画なので、当然のようにトランプ政権下の状況についての政治的含意があり、2期8年の可能性すらあった当時としては一層、重い文脈をもって解釈されていたわけである。ポスト・トランプの世界がマシであるという以上によいものであると、言うことができる人間は少ないとして。
五輪の開催に異を唱えないのは政府と主要メディアだけではないかという異常事態に、野党共闘は6月解散のシナリオも想定しているというニュースがあって、オリンピック返上と同時に一か八かの解散総選挙という目が出てきたのではないかという気がする。是非はともかく、インドがそうであったように、総選挙は感染を一層、拡大するであろう点が気がかりではある。